軽度な傷や凹みの板金塗装は即日で終わるのか？

軽度な擦り傷や小さな凹みは、板金塗装の中でも比較的短時間で修理が可能な部類に入ります。実際に、専門業者によっては即日対応をうたっているケースもあり、朝入庫して夕方には納車されることもあります。

とはいえ、即日で修理が完了するかどうかは、以下の条件に大きく左右されます。

【即日修理が可能な条件】

• 傷や凹みの程度
  表面上の擦り傷や浅いへこみのみで、パーツ交換を伴わないケース
• 損傷箇所
  バンパー、ドアパネル、フェンダーなど、単一部位に限定されている場合
• 色の種類
  車体色がパールやメタリックではないため、調色工程が短縮できること
• 工場の空き状況 当日の作業枠に空きがあり、繁忙期ではないこと
• 天候や湿度
  晴天かつ低湿度で、塗装の乾燥工程がスムーズに進む気候条件
• 作業体制
  即日対応の専門チームが常駐し、最新設備を備えた認定工場であること

これらの条件をすべて満たす場合に限り、1日以内の仕上がりが現実的になります。

一方、即日対応を希望する際には、次のような注意点もあります。

【即日対応の注意点】

• 修理の質よりスピードが優先されがちになり、塗装のムラや仕上がりに差が出る可能性がある
• 当日予約は困難な場合が多く、事前に予約や状況確認が必須
• 即日対応といっても、実作業にかかる時間は4〜6時間程度が限界のため、対象外の傷や凹みには向かない

中程度の損傷（ドア交換・パネル補修）の場合の日数目安

中程度の損傷とは、パーツの一部交換や板金と塗装が同時に必要になるケースを指します。例えば「ドアに大きな凹みがある」「パネルの歪みが目立つ」など、見た目だけでなく内部構造に影響する場合も含まれます。

このクラスの修理では、以下の工程が必要となり、おおむね3〜5日程度の修理期間を要します。

【中程度の板金塗装作業の工程と日数目安】

【中程度の損傷対応時のチェックポイント】

• 部品が即納か取り寄せか？納期の確認が重要
• 調色に時間がかかる色（パール系・特殊色）は要注意
• 修理見積もりと納期の説明が明確な業者を選ぶこと

重度損傷（フレーム修正・複数部位修理）の場合は何日？

重度損傷とは、車体骨格（フレーム）まで影響が及んでいる状態や、複数部位に渡る大規模な修理が必要なケースです。このような修理では、10日以上を要することが一般的です。

【重度損傷の具体的な修理項目】

• フレーム修正（歪みの矯正）
• 複数パーツの交換（ドア＋フェンダー＋リアバンパーなど）
• 塗装範囲が広く、調色が複数回必要
• 部品納期のズレや、検査基準の厳格化
• 安全機能（ADAS）調整やキャリブレーション作業

【重度修理のスケジュール例】

• 診断・損傷判定
  所要期間の目安は1日
• フレーム修正
  所要期間の目安は2日〜3日
• 部品発注〜到着
  所要期間の目安は2日〜5日（海外品の場合は7日以上）
• 板金・溶接作業
  所要期間の目安は2日〜3日
• 塗装・乾燥工程
  所要期間の目安は2日〜3日
• 電子調整・最終検査
  所要期間の目安は1日〜2日

季節や天候による納期の違いはある？

板金塗装の納期は、気候や季節条件によっても変動します。特に「塗装の乾燥」や「作業スペースの混雑」に影響を及ぼすため、事前に理解しておくとスケジュール調整がしやすくなります。

【季節・気候の影響と修理スピードの関係】

• 夏（高温乾燥）
  塗料の乾燥が早く進むため、納期短縮に有利
• 冬（低温乾燥）
  乾燥に時間がかかり、作業効率が下がる
• 梅雨・秋雨
  湿度が高く、塗装ムラや乾燥遅延のリスクがある
• 繁忙期（GW・年末）
  修理依頼が集中するため、作業着手が遅れるケースが多い

修理前！見積もりと損傷診断にかかる時間

板金塗装では、作業そのものよりも修理前の「見積もり」と「損傷診断」が納期や仕上がりに大きく影響します。この初期工程は修理の質を左右する重要なフェーズです。

最初に受付・ヒアリングで車両の状態を確認し（約10〜15分）、次に外観チェックで傷や凹みの部位を特定します（約15〜20分）。必要に応じて分解診断を行い、内部の損傷や保険用の写真を撮影します（約30〜60分）。その後、部品代や工数をもとに見積もりを作成し（約30〜60分）、内容説明と承諾確認で全体の工程は約90分〜2時間ほどかかります。繁忙期や保険対応がある場合はさらに時間を要することもあります。

見積もり時に確認しておきたいのは以下の点です。

・修理内容と納期の見通し
・保険適用の有無と範囲
・代車の有無と予約状況
・部品が在庫か取り寄せか
・見積もり金額の内訳と有効期限

この段階でのやり取りがスムーズな業者ほど、信頼できる修理が期待できます。初めての方こそ、丁寧に説明してくれるかを見極めましょう。

修理中！板金作業・塗装作業・乾燥工程の所要時間

板金塗装の作業工程は「板金作業」「塗装作業」「乾燥工程」の3つに大別され、それぞれにかかる時間と注意点が異なります。これらの工程管理が仕上がりの品質と納期に大きく影響するため、全体の流れを理解しておくことが重要です。

まず板金作業では、凹みの引き出しやフレーム修正、溶接、パテ処理などを行い、車体を元の形状に整えます（約2〜3時間）。その後、サフェーサー塗布や研磨、脱脂などの下地処理で塗装の密着性を高め（約1時間）、調色と塗装作業に移ります。調色から塗膜の吹き付けまでで約2時間かかり、均一な仕上がりが求められます。次に、赤外線や熱風ブースを使って塗料を完全に乾燥させる工程に入り、湿度や気温によって1〜3時間程度かかります。最後に研磨と艶出しで塗装面を整え、見た目を新品のように仕上げます（約1時間）。

全体としては6〜10時間前後の作業時間が目安で、1日で終わるケースもありますが、進行状況や工場の対応状況によって複数日にわたることもあります。

作業中に発生しやすいトラブルとしては、以下のようなケースがあります。

・板金中に隠れた損傷が見つかり、追加作業が必要になる
・特殊な塗装色（パール・マットなど）の調色に時間がかかる
・湿度が高い日は乾燥が遅れ、工程が後ろ倒しになる
・スタッフ不足や機器トラブルで作業が遅れる

こうしたリスクを防ぐには、進捗をこまめに報告してくれる業者を選ぶのが安心です。LINEやメールで報告を行う工場も増えており、事前に確認しておくと納得のいく修理につながります。

修理後！仕上げ・検査・納車準備までにかかる時間

修理が完了しても、すぐに車が納車されるわけではありません。最終段階として必要なのが「検査」と「納車準備」です。この工程では、塗装不良やパーツの組み忘れ、異音などを未然に防ぐために細部まで確認が行われ、品質と安全性を確保します。

まず塗装の色ムラやゴミ混入、艶の状態などを外観チェックで確認し（約15分）、次にドアの開閉やライト、ウィンカーなどの動作確認を行います（約30分）。その後、必要に応じて走行テストや異音、水漏れの確認といった最終検査を実施し（約30〜60分）、内外装の清掃と洗車で美観を整えます（約30分）。最後に修理報告書や保険関連書類、納車チェックリストなどの書類を準備します（約20分）。これらをすべて含めて、納車前には2〜3時間程度が必要です。

納車時には以下のチェックポイントを必ず確認しましょう。

・修理箇所の塗装状態に色味や艶の違和感がないか
・ドアやボンネットの開閉に引っかかりや異音がないか
・修理部位の境目に段差や不自然なつなぎ目がないか
・試走で異音や走行のふらつきがないか
・作業報告書や保証書の記載内容に不備がないか

部品の取り寄せに時間がかかる場合

板金塗装の修理期間に大きく影響するのが「部品の取り寄せ」です。軽度な擦り傷や凹みであれば板金・塗装のみで対応可能ですが、ドアやバンパーのように交換が必要なパーツが損傷している場合は、必然的にメーカーから部品を取り寄せる工程が発生します。

この取り寄せにかかる時間は部品の種類や在庫状況、輸送手段によって大きく異なります。

こうした納期の差により、最短1日で届く場合もあれば3週間以上かかる場合もあるため、納期の読み違いが修理全体に影響を与えます。

【事前にできる防止策と確認ポイント】

• 修理前の見積もり段階で部品在庫の有無を確認する
• 「どの部品が交換対象か」「代替品の利用可否」を明確にする
• 輸入車・古い車・限定車は納期長期化リスクが高いため、早期の相談が必須
• 在庫の有無に応じた日程調整や代車対応の交渉も効果的

部品の入荷遅れは業者の責任とは限らないため、納期を過信せずリスクを見込んだ計画が重要です。

損傷箇所の追加発見による作業範囲拡大

修理を進める中で、当初は確認できなかった損傷が作業途中に判明することは珍しくありません。とくに外観では判断しづらい内部構造の破損や、バンパーやドアの内側にあるフレームや取り付け部への影響は、実際に分解作業を行って初めて明らかになるケースが多くあります。こうした事例では、修理範囲の拡大に伴い再見積もりが必要となり、納期や費用の面で調整が発生します。

たとえば、バンパー裏のステーが衝撃で割れていても外観からは気づきにくく、発見時には部品交換と工賃が追加となります。フェンダー裏のインナー部分の曲がりや変形が後から判明することもあり、再度板金や塗装が必要になって納期が1日以上延びることがあります。ドアのヒンジやアーム類に関しても、開閉テスト中に異音やズレから損傷が発覚することがあり、再調整や部品取り寄せが必要となる場合もあります。また、センサーやカメラの配線が衝突の影響で断線していると、電装修理が追加され、専門技術者や設備が必要になって修理の負荷が高まることもあります。

このように追加作業が発生すると、工程の一時中断とスケジュールの再調整が避けられず、納期が数日から1週間程度延びることもあります。こうした事態に備えるには、見積もり時に「分解後に確定する部分がある」ことを明確に説明してもらうことが重要です。また、損傷の範囲が完全には把握できていない場合は、提示された金額があくまで「暫定見積もり」であるという前提で話を進めましょう。

理想的には、見積もりの前に分解診断を実施してから正式見積もりを出してもらうのが安心です。万が一の納期延長にも対応できるよう、代車の延長や生活スケジュールの調整も見据えた準備をしておくと、後のトラブルを防ぐことができます。最終的に納得して修理を任せられるかどうかは、初期説明の丁寧さと信頼性に大きく左右されるため、業者選びの段階で説明力と誠実さを見極めることが非常に重要です。

パーツ別の料金目安と修理日数比較表（例：バンパー／ドア／フェンダー）

板金塗装にかかる費用と修理に要する日数は、修理するパーツの種類や損傷の程度によって大きく異なります。正確な費用感と納期を把握しておくことで、予算の調整やスケジュール管理がしやすくなります。

以下の表は、主要なパーツ別における修理費用の目安と、必要とされる日数を整理したものです。これにより、読者は自身の車の損傷内容と照らし合わせて、必要な日数や予算をイメージしやすくなります。

【パーツ別　板金塗装の日数比較表】

板金塗装にかかる日数は、損傷の程度や部位、工程の内容、季節的な混雑状況によって大きく異なります。たとえば、軽度な擦り傷であれば即日または1日で修理が完了することもありますが、パーツの交換やフレーム修正などの重度なケースでは7日以上かかることも珍しくありません。特に保険適用の修理では、保険会社との書類確認や審査対応でさらに数日を要する可能性があります。

納期が延びる主な要因としては、部品の取り寄せ遅延や損傷箇所の追加発見、繁忙期の工場混雑、雨天や低温による塗装乾燥の遅れなどが挙げられます。こうしたリスクを軽減するには、見積もり段階で納期の見通しを詳細に確認し、代車の手配や作業工程の説明をしっかり受けることが大切です。

費用とのバランスも見逃せません。パーツ別の修理費用と日数の比較では、バンパーの擦り傷なら数万円かつ1〜2日、フェンダーの交換を伴う場合は10万円前後で1週間程度が一般的です。見積もり時には「納期短縮の対応可否」「代車の有無」「作業内容の具体性」など、質問すべきチェックリストを準備しておくと、後悔のない選択につながります。

板金塗装の納期や費用に関する情報を正しく把握することで、修理期間中の生活への影響や思わぬトラブルを最小限に抑えることが可能です。焦らず事前準備を行い、信頼できる業者を選ぶことで、満足のいく仕上がりと納得のいくスケジュールが手に入ります。放置すれば車体価値の低下や安全性にも影響が出るため、早めの対応が肝心です。

Q. バンパーやフェンダーの板金塗装はどれくらいの費用と日数がかかりますか？
A. バンパーの板金塗装は軽度な擦り傷であれば2万円から4万円、修理日数は即日から2日が目安です。フェンダーの場合、部品の損傷が大きいと5万円から8万円程度かかり、日数も3日から5日かかることがあります。損傷範囲や塗装の規模によって料金と期間は大きく変動しますので、正確な見積もりは事前の損傷診断が重要です。

Q. 自費修理と保険修理では、修理完了までの期間はどう違いますか？
A. 自費修理は工場と直接スケジュール調整ができるため、1日から5日で完了するケースもあります。一方、保険修理では保険会社とのやりとりや審査が必要なため、7日から10日以上かかることもあります。特に損傷が大きく、交換部品が必要な場合は審査の段階で時間がかかることが多く、保険会社の対応スピードも納期に影響を与える要因です。

Q. 「とにかく安く」という条件で板金塗装を依頼したら納期はどうなりますか？
A. 安さを最優先すると、工場の混雑時には後回しにされることがあり、1週間以上納期が延びる可能性があります。格安業者では作業をまとめて行うため、乾燥や仕上げの品質に影響が出ることも。例えば、通常3日で完了する内容が10日以上かかったという事例もあります。価格と納期、品質のバランスを見極めることが重要です。

Q. 見積もり時に納期を正確に確認するには、どんな質問をすればよいですか？
A. 納期を明確に把握するためには「この部品の取り寄せに何日かかりますか」「乾燥工程は何時間かかりますか」「繁忙期の影響はありますか」といった具体的な質問が効果的です。また、「もし追加の損傷が見つかった場合は、何日追加されますか」と事前に聞いておくことで、予定より遅れるリスクも最小限に抑えられます。修理期間を左右する要因を把握することが、トラブル回避につながります。

会社名・・・株式会社イチムラボディーショップ

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